3年前からエイプ100に取り付けていた、シートカウルが度重なる転倒と
その場しのぎの補修で、本格的に割れてしまいました。
このままでは、割れが広がってしまいますので、FRP樹脂とガラスマットを使用して
補修したいと思います。
今回は樹脂パーツのFRP補修とリペイントの作業解説です。
宜しければ、最後までお付き合い下さい!
FRP補修ってなに?
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2022/10/23238083_s.jpg)
FRPとは繊維強化プラスチックの意味で、FRP樹脂とは樹脂分であるプラスチックに
ガラス繊維などを混ぜ強度を高めた複合材料のことです。
バイクのカウルは樹脂で形成されています。
鉄パーツと違い、割れやすいですし、溶接で割れの補修は出来ませんので
樹脂パーツの修理には、FRP樹脂を利用するのが一般的です。
使用するFRP補修キット
一般に使用されるFRP補修キットは、樹脂の主剤と硬化剤、ガラス繊維がセットで販売されています。バイク用品店やホームセンターで見かける製品は、内容量とガラスマットが少なく割高です。
私はネットで、安く内容量の多いキットを見つけたので、毎回お世話になっています。
よくFRP補修する方や、FRP樹脂でパーツを作成する方は、もっと大量に購入しますが
割れたパーツの補修に使うには、これくらいの量で充分足りますし
プラスチックの容器では硬化剤は時間と共に、硬化剤のみが固まってしまいますので
このくらいの量を毎回、購入することをオススメしています。
補修するパーツの状態
中古で購入し、そのまま装着して使用してきましたが割れが進行しています。
今回は表面の塗装もやり直して、綺麗なシートカウルにしていきましょう。
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2022/10/IMG_2180.jpg)
作業手順の解説
切削作業
まずは、割れた箇所をベルトサンダーやグラインダーで削っていきます。
わかりやすいよう、樹脂パーツの断面を図で説明します。
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2021/11/IMG_0088.jpg)
このように完全に割れた状態です。このままFRP樹脂で固めても、樹脂の入る隙間が少なく
樹脂同士も量が少なくなり、強度が出ません。
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2021/11/IMG_0090.jpg)
まずは、図の赤ラインのようにサンダーで割れた箇所をカットします。
カットすることで、断層剥離してしまっている割れも切除できます。
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2021/11/IMG_0092.jpg)
このように、隙間を少し広げてあげると、樹脂の入る隙間と樹脂量が多くなるので
強度が増します。
ガラス繊維と樹脂付け
カットしたパーツにFRP樹脂とガラスマットを付けていきます。
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2021/11/IMG_0093.jpg)
サンダーでカットした埃や削り粉を掃除して、密着の良い状態を作りましょう。
カットした箇所に主剤と硬化剤をしっかり攪拌したFRP樹脂を塗ります。
割れの大きさにカットしたガラス繊維をのせ、更にFRP樹脂を乗せていきましょう。
このとき、少し盛り上がる程度に樹脂を付けます。
このまま硬化するまで、触らずに放置します。
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2021/11/IMG_0094.jpg)
完全に硬化したFRP樹脂を研磨して、平らにしていきます。
前の工程で盛ったFRPを、サンドペーパーの#80程度で研磨し
徐々に番手を#80→#120→#180と上げ、ある程度、平らになれば完了です。
パテ付けと整形
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2022/10/31fTdSYWHyL._AC_.jpg)
FRP樹脂の工程はここまでですが、FRPのみで完全に段差を無くすことは難しいです。
パテを盛りをして平滑な面が出来るまで、整形しましょう。
こちらは私がプライベートで使用しているパテです。
板金塗装の仕事では日本ペイントのパテを使用しますが
小売りはしていないので、プライベートではソフト99のパテを使用しています。
FRP樹脂を使用する注意点
FRP樹脂を使用する際の注意点を何点かお話します。
1 手袋や保護具の着用
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2022/10/24949683_s.jpg)
FRP樹脂に使用するガラス繊維は、肌に刺さりますので
必ず手袋とマスクを着用して扱うようにしてください。
肌に刺さると、チクチクする痛みを感じますが
水で洗い流せば取れます。
2 正確な量を混ぜ合わせる
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2022/10/1654848_s.jpg)
FRP樹脂は、硬化反応時に熱を持ちます。
必ず硬化剤の添加量を守り攪拌しましょう。
正しい量を添加しないと、強度が出ない場合があります。
シートカウル塗装
FRP樹脂とパテで整形が完了したシートカウルを塗装していきます。
樹脂パーツは、鉄と比べ、塗料の密着が悪いので
必ずミッチャクロンを吹いて作業しましょう。
サフェーサーの塗布
まずは、サフェーサーを塗布します。
他のパーツを塗装する際と同様に、サフェーサーを塗布し
乾燥後研磨します。
表面と裏面を同時に塗るようなパーツは
このように吊るして塗装すると綺麗にできます。
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2021/11/IMG_2189.jpg)
サフェーサーを塗布すると、目立たなかった凹凸がはっきり見えます
この時点で、小さな凹凸は全て研磨して、平滑に仕上げましょう。
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2021/11/IMG_2194-1.jpg)
必要に応じて、ポリパテを付け、ピンホールやヘコミを埋めましょう。
ベースカラーの塗布
今回は、Mazda NDロードスターのマシーングレープレミアムメタリック 46G
を調色したので、塗装していきます!
メタルムラが出ないよう、肌を見つつ目指す色になるまで重ねます。
仕上げに、更に希釈したベース塗料でムラ取りをして完了です。
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2021/11/IMG_2243.jpg)
なんだか、思っていた色と違います、
クリヤを張ると色合いも変わるのですが、もっと暗いグレーになるはず・・・
ここで路線変更です!
せっかくの明るいメタリック下地ができたので、オレンジのカラークリヤを作り
流行りのキャンディー塗装に変更します!
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2021/11/IMG_2253.jpg)
全然、キャンディーオレンジじゃない・・・
いつものオレンジ色になってしまいました。
このままでは、エイプがオレンジ1色になってしまいます。
更に路線変更して、TOYOTA シエンタ 6W9を塗布することに・・・
![](https://asb-craft.com/wp-content/uploads/2021/11/IMG_2256.jpg)
1日に3度色を変え、満足しましたのでクリヤを張り完成です。
オレンジのままで良かったのでは?と思いますが
もう一台ある愛車のデイトナ675がオールオレンジの全塗装をしているので
同じような色の車両を、もう一台作るのは、なんとなく面白くないので( ^ω^)・・・
エイプはレーシーなカスタムペイントを予定しています!
まとめ
FRP樹脂の補修方法を解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
カウルは割れてしまったり、傷が深すぎると新品を購入するバイク屋さんも多いです。
思っている以上に、FRP補修は簡単ですので、是非挑戦してみてください。
レースやジムカーナで、よく転倒する競技の方たちは、自分で修理されている方が多いです。
新品のパーツを買うより、安く上がりますし
自分で修理した分、バイクにもっと愛着が湧きますよ!
ご通読、ありがとうございました!
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