カー用品店でエンジンオイルを選んでいると、ターボ車にオススメと銘打たれたオイルが多々あります。
NA車(ターボではなく自然吸気で走る車)とターボ車で使用するオイルに違いはあるのでしょうか?
通常のエンジンオイルと比較するとターボ用として勧められるエンジンオイルは価格が高くなる傾向にあります。
なるべくコストを抑えたい方にとっては、エンジンに支障が無いなら通常のエンジンオイルを使用したいと考えるのは自然な考えだと言えます。
この記事では、ターボ車とNA車のエンジンオイルの違いを解説します。
ターボ車とNA車のエンジンオイルの違い
オイルの粘度
ターボ車とNA車でエンジンオイルはどう違うのか、その一つは粘度です。
HondaバモスのターボとNAの指定エンジンオイルの粘度を比較してみると
NAエンジンは0W-20、ターボエンジンは5W-30となっています。
ターボ車に指定されている粘度はNA車に比べ高粘度であることが多いです。
ターボエンジンは、タービンを高熱の排気ガスによって高回転させるため、NAエンジンと比較して発熱量が高いです。
よって、高い温度での使用を想定されたオイルを使用し、一定のエンジン保護性能を保つ必要がありますので、耐熱性の高い高粘度オイルが指定されています。
近年では低粘度で熱に強いエンジンオイルが開発されていますので、一概には言えませんがエンジンオイルの粘度は高くなると熱からエンジンを保護する性能が高くなる傾向にあります。
添加剤の有無
熱による劣化と酸化による劣化
上記で解説したように、ターボ車は発熱量が高いです。
ターボ車はエンジンオイルの交換サイクルが早いと言われています。それは熱によりオイルのエンジン保護性能が低下し易いためです。
熱によってオイルが劣化してしまうのを防ぐため、ターボ車のエンジンオイルには添加剤が混ぜられており、熱による劣化がしにくくなっています。
耐摩擦性能
ターボエンジンはその特性上、NAエンジンと比べ高回転を多用する傾向があります。
ターボ車での使用を想定されたエンジンオイルは、耐摩擦性能が高くなっており、高回転での運転にも耐えうるオイル性能になっています。
ターボ車とNA車でオイル交換時期に差はあるの?
ターボエンジン搭載車はエンジンオイルに大きな負荷がかかっています。
先ほど説明した通り、ターボエンジンは高温で使用することが多く、エンジンオイルも高温に晒され続けます。
エンジンオイルは、熱によって徐々に保護性能が失われていきますので、ターボエンジンではオイルが劣化し易い傾向にあります。
保護性能が低下した状態では金属同士の接触が増え、エンジンの寿命を減らすことに繋がりますので
ターボエンジンのオイル交換は、NAエンジンより交換時期が早くなります。
エンジンオイルの主要メーカー
エンジンオイルを販売しているメーカーは様々ありますので、各オイルメーカーを紹介します。
WAKO’S (ワコーズ)
独特の青いパッケージで知られるワコーズ
ワコーズは日本のケミカルメーカーで、1972年に創業した会社で、40年以上に渡って潤滑油を主としたケミカル製品の総合メーカーです。
ワコーズ製品をこよなく愛するワコーズ信者と呼ばれる方々もいるほど、車好きに愛されるメーカーでもあります。
エンジンオイルが主要な製品ではありませんが、販売するエンジンオイルは高い評価を得ています。
ワコーズの人気オイル
1 PRO-S40 プロステージS 10W-40
この製品は普通車に適したなエンジンオイルです。
様々なシーンの走行を想定した製品で汎用性が高く、ワコーズ製品の中で最も車ユーザーから人気のあるエンジンオイルです。
2 TR-40 トリプルアール 10W40
トリプルアール 10W-40はレースシーンにも、一般道の走行にも対応した高性能エンジンオイルです。
高温時でも粘度が一定に保たれ、高温となるターボエンジンに適したエンジンオイルです。
同じワコーズのプロステージSと比較すると、高価なエンジンオイルですが、価格に比例してエンジン保護性能と耐熱性に優れます。
エンジンへのダメージを軽減させて、愛車をクリーンに長く乗りたい方にオススメのエンジンオイルです。
Castrol (カストロール)
カストロールは1899年にイギリスで創業し、100年以上の歴史を持つ老舗メーカーオイルメーカーです。
モータースポーツに適したオイルから、街乗りを想定したオイルまで、様々なエンジンオイルのラインナップが販売されています。
高いエンジン保護性能からカストロールを愛用するユーザーも多いです。
カストロールの人気オイル
1 GTX 10W-30
カストロールの赤缶として知られる GTX 10W-30エンジンオイル
カストロールの販売するエンジンオイルの中で最も価格の安いオイルですが、エンジン保護性能は高いです。
街乗りでの走行を想定されている鉱物油で、ガソリン車・ディーゼル車ともに使用することができます。
2 GTX DC-TURBO 10W-30
エンジンオイル名にターボと記載されている通り、ターボを装備した高出力エンジンでの使用を想定したエンジンオイルです。
高い耐熱性能を持ち、ターボ車など高出力エンジンに安心して使用することができます。
3 EDGE RS 10W-50 API SN
こちらは筆者がいつも愛用している高粘度のスポーツオイルです。
ターボエンジンからNA(自然吸気)エンジンまで、あらゆるスポーツエンジンのポテンシャルを引き出します。
カストロールの中でも高性能なオイルですが、なんとAmazonではかなり安価に売られていますので
筆者は愛車の性能を保つためにこちらのエンジンオイルを使用しています。
MOTUL (モチュール)
モチュールは150年以上の歴史を持つ、フランスのオイルメーカーです。
モータースポーツのシーンでも、TOYOTAのエンジンオイルを手掛けるほど信頼の厚いメーカーで、世界で初めて100%科学合成油を製品化したオイルメーカーでもあります。
ターボ車での使用を想定したエンジンオイルの評価が高く、特に高温時の油膜を強化させ、過酷な条件下でもエンジンを摩耗から保護してくれます。
モチュールの人気オイル
8100 X-clean+ 5W30
このオイルはベンツやBMWなどの海外メーカーの承認を得ている100%科学合成油の高性能オイルで、ガソリン車 ディーゼル車共に使用することが出来ます。
5W-30の低粘度オイルながら、省燃費性能と高負荷時のエンジン保護性能を両立し、高速連続走行時でも優れた油膜保持特性を発揮します。
オイルの価格は高いですが、車を長く乗りたい方や、エンジンをクリーンに保ちたい方にオススメのエンジンオイルです。
高粘度オイルをNA車に使ってもいいの?
ターボ車での使用を想定されている高粘度オイルをNA車に使用することは問題ありません。
むしろ走行距離の進んだ車には、指定されている粘度よりも硬いオイルの使用が推奨されています。
しかし、エンジンオイルの粘度を上げることによって、メリットを得られる反面、デメリットが発生してしまいます。
高粘度化によるメリット
エンジンオイルの粘度向上によって得られるメリットは
・潤滑作用の向上 ・密封作用の向上
が挙げられ、これらのメリットは古い車や過走行車の不具合に効果的といわれています。
潤滑作用の向上は、エンジンオイルの粘度を上げることにより、潤滑作用が増しエンジン内部のピストンリングやシリンダースリーブなどの摩耗を防ぎます。
密封作用の向上は、過走行気味の車に当てはまる条件なのですが、度重なる使用によりピストンリングとスリーブは少しずつ摩耗し、クリアリングが広くなり、少しずつ圧縮が低下してエンジンのパワーダウンに繋がります。
そこで、粘度の高いオイルをいれることで、この広くなったクリアリングの密封性を高めて
圧縮やエンジンパワーを上げることが出来ます。
あと、多少ではありますが粘度の高いエンジンオイルを入れることで、エンジン音が吸収されて
走行音が静かになります。
高粘度化によるデメリット
・燃費の悪化 ・吹け上がりの不調 ・始動性の悪化 ・オイルポンプへの負荷
などが挙げられます。
指定されているオイルより粘度の高いオイルを入れることにより、エンジンを動かす抵抗が増加し、始動性の悪化や、燃費の悪化につながります。
それだけでなく、硬すぎるオイルはオイルポンプへの負荷も増加しますので、ポンプ故障の原因にも繋がります。
まとめ
NA車とターボ車のエンジンオイルの違いについて解説してきました。
結論を言うと、それぞれのオイルの違いは粘度とオイル性能です。
ターボ車はNA車と比べ、エンジンにかかる負荷が大きく、発熱量も高いので
熱に強い高性能オイルが指定されていると考えると納得ですね。
NA ターボ問わずエンジン保護のために高粘度オイルを好む方がおられますが、むやみやたらと高粘度のエンジンオイルを入れればいいというわけではありません。
近年のエンジンオイルは、低粘度でも添加剤の開発によりエンジン保護性能が高いオイルも販売されていますので、過走行車やシビアコンディションを除く車は指定された粘度のオイルの使用をオススメしています。
皆さんも愛車に適したオイルを使用し快適なカーライフを!
ご通読ありがとうございました!
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