車・バイクの塗装方法を解説 必要な道具や注意するポイントとは?

スプレーガン カスタム・メンテナンス
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車やバイクのイメージを決めるボディカラー
ボディカラーを変更すると車両の印象は大きく変わります。

車両のイメージを司るほどのカスタム要素を持つ塗装ですが、業者に依頼すると非常に高額で
初心者にはDIY塗装はハードルの高いカスタムと思われがちですが

結論を先に言います。DIYでの自家塗装は初心者の方にも可能です!

正しい知識と必要な道具があれば、塗装店に依頼しなくても
塗装面の補修や、ボディーカラーを好みの色に変更することができます。

この記事は塗装面を事故や不注意で傷つけてしまった方や
カスタムで目立つ印象にしたい方向けの記事となっています。

宜しければ、最後までお付き合い下さい。

塗装被膜の構造

車やバイクの塗装は3つの層で構成されています。

1層目 サフェーサー 下塗り

サフェーサーとはボディの金属面に塗布する塗料です。
この塗料は様々な役割がありますので解説します。

塗料の密着を向上させる
この塗料は金属との密着性が高く、下地材として使用されています。

平滑性の向上
この塗料は乾燥後、サンドペーパーで研磨することで、凹凸の無い面を作ることができます。

シール効果 吸込み止め
シール効果と言って、塗料で膜を形成し、他の塗料の吸込みを防止します。
パテ整形面は塗料を吸い込むため、塗装面が荒れてしまいます。

色の均一化
サフェーサーで下地の色を一度、一色に染めるため
上に塗装する色を均一に仕上げることができます。

2層目 ボディに色を付ける 上塗り

ボディーカラーの色の元となる塗装です。

塗装面の色や見え方は、この工程で決まります。
塗装した塗料がそのまま見えるので、色ムラに注意して塗装する必要があります。

3層目 上塗りを保護する クリヤ

2層目の塗料を保護するための塗料です。

この塗料は対候性が高く、日光や雨風の劣化に強いため
最終工程でクリヤで上塗り塗料を覆うことで、綺麗な状態を長く保つことができます。

透明なクリヤで塗料を覆うことで、ボディに艶がでて上質な質感になります。

塗装のために準備する物

まず最初に必要な材料を紹介します。 塗装面の状態により、作業手順は異なりますが
ここでは通常の塗装で必要な材料を紹介します。

必要な材料

  1. サンドペーパー #240 #400 #600 #800
  2. 脱脂剤 シリコンオフなど
  3. タッククロス 粘着性のある布で埃の除去に使用する
  4. 塗料カップと攪拌棒 塗料を配合する容器と混ぜ棒
  5. ストレーナー 塗料に混入したゴミを濾すメッシュ材
  6. ミッチャクロン 塗料の密着を向上させるプライマー
  7. サフェーサー 下地となる塗料
  8. 上塗り塗料 ベースとなる色
  9. ウレタンクリヤー 上塗り塗料を保護する被膜

これらの材料が通常で必要になるものです。

ボディに傷やヘコミがあれば、板金でのボディ整形が必要になりますが
軽度なヘコミや傷であれば、パテ盛りのみで整形が可能です。

使用する道具

  1. ダブルアクションサンダー 塗る面を整えるため
  2. スプレーガン 塗料吹き付ける道具
  3. コンプレッサー 圧縮エアーを作る装置
  4. エアーホース 圧縮エアーをスプレーガンに送るため
  5. 計量器 塗料を正確に配合するため

塗装する面の状態確認

塗装する面の状態を確認します。
傷があれば、耐水ペーパーで研磨して、平滑にしなければなりません。

塗装表面の状態も確認しておきます。
古い車やバイクなどは、表面のクリヤが劣化している可能性があります。

部位を取り外す場合

塗装するパーツによっては、車体から取り外した方が、作業し易い場合があります。
バイクは複雑な形状のパーツが多いので、取り外し塗装することをオススメします。

車のドアやバンパーであれば、取り付けた状態で塗装も可能ですが
取り外した方が細部までの塗装が簡単になります。

車のドアを例にして説明します。
車のドアには配線が通っていますので、取り外します。
多くの場合、配線はまとまっており、カプラーで留められています。

古い車では、カプラーのプラスチックが劣化しており、取り外しの際に
破損してしまう可能性がありますので、注意して作業して下さい。

配線を取り外したら、ドアのヒンジになっている金属製の金具を外しましょう。

取り外さず塗装する場合

ドアやバンパー、ボンネットなどを取り外しせず、塗装する場合は
塗装しない箇所をマスキングする必要があります。

このマスキングをいかに丁寧にするかで、出来栄えに影響するため
マスキングは重要な工程です。

車のドアを塗装する場合は、付近にあるパーツ、タイヤや窓をマスキングします。

塗装する面をペーパーで研磨

傷や塗装表面の状態が悪い場合は、表面の塗装をサンドペーパーで剥離してしまいます。
なるべく凹凸の少ない面を作ることを意識して、ペーパーをかけましょう。

傷の場合も同様に、傷の箇所を研磨して、平らにしておきましょう。
このとき、なるべく広い面を研磨しておきます。
そうすることで、塗装した際に、研磨した箇所を目立たなくすることが出来ます。

サンドペーパー裏面
サンドペーパー表面

サンドペーパーは記載されている粒度の数字が高くなるほど、滑らかな表面になります。
低い数字から順番に使用することで、滑らかな表面を作ることができます。

塗料を配合する際の注意点

塗料はメーカーによって、主剤に対してのシンナーと硬化剤の配合比率が決まっています。
正確な配合を守らなければ、硬化不良やトラブルの原因となります。
計量器を使用して、正確に配合量を守りましょう。

塗料を攪拌する際にも、カップの側面をなぞるように、かき混ぜ
主剤、シンナー、硬化剤が全て混ざるまで攪拌しましょう。

プロ用の塗料計量器は数十万と高額ですが、調理用の計りでも大丈夫です。

配合と攪拌の工程でゴミや埃が混入する場合があります。
そのまま塗布してしまわないようにストレーナーに塗料を通し、ゴミを濾し取ります。

ゴミが混入したまま塗装してしまうと、塗装面にブツが発生してしまいますので
必ずストレーナーでゴミを取り除きましょう
このような細かい作業が、綺麗な塗装面を作るのには重要です。

ストレーナー

ストレーナー下部は網目の細かいメッシュになっており、塗料を通すことで
小さなゴミを取り除きます。

サフェーサーを塗布

サフェーサーを塗布します。
サフェーサーとは、ベースカラーの下に吹き付けする、下地の塗料です。

作業する人によって呼び方が異なりますが
サフだったり、サフェだったりだったりしますが、同じものを指しているので
サフェーサーという名称を覚えておけば十分です。

サフェーサーの役割

  • 上塗り塗料の吸込みを防止する
  • 塗料の密着を向上させる
  • 平滑性を向上させる
  • 色を均一にする

などの役割を持ちます。 塗装において非常に重要な役割なので
基本的にサフェーサーを吹かないという選択はありません。

オススメサフェーサーの紹介

僕が使用しているサフェーサーを紹介します。
ロックペイント プラサフ クライマックス(ミディアムグレー)です。

こちらのサフェーサーは5:1の割合で硬化剤を配合します。
厚盛性に優れていて、タレにくいです。

サフェーサーにおいて、厚盛性は重要な要素で
平滑な表面を作るには、表面を研磨するのですが、厚みを持たせた方が
より深い研磨が可能で平滑な表面を、作りやすいです。

作業手順

サフェーサーを塗布する前に、ごみや埃を落としましょう。
表面の不純物を除去したら、脱脂します。

ここで使用するのが、脱脂剤です。

塗装は、表面に油分やシリコン成分があると、綺麗に付着してくれません。
そこで使用する脱脂剤ですが、シリコンオフと呼ばれるものを使用します。

毛羽立たないウエスにしみこませ、全体を拭き上げます。

ここで、より塗料の密着性を向上させるため、ミッチャクロンを塗布します。

塗料の密着が悪いと、マスキングテープを剥がす際や、高圧の洗車機にかけた際
塗装が剥がれてしまう可能性があります。

万が一剥がれてしまうと、せっかくの塗装が台無しですので
密着が不安な場合は必ずプライマーを塗布しましょう。

ここまできて、ようやく、サフェーサーを吹きます。

サフェーサーは厚みを持たせるイメージで、垂れない程度に吹き付けます。
塗料の種類にも関係しますが、基本的には、3回重ね塗りをしましょう。

傷を付けてしまった箇所が小さい場合は画像のように、塗装する箇所を小さくマスキングし
部分的にサフェーサーを塗布します。

この範囲の場合、マスキングする箇所は、窓やタイヤ、フェンダー、後ろのドアです。

サフェーサーの研磨

乾燥したサフェーサーを研磨します。

耐水ペーパーの#400から使用します。
研磨する面を水で濡らし、研磨していきます。

全体を研磨すると、凹凸が無くなり、平滑な面を作ることができます。
#600→#800と耐水ペーパーの番手を上げて研磨していきましょう。

この工程は、完成時の仕上がりに大きく影響します。
凹凸が残っている状態だと、完成したときに塗装面が歪んでしまいます。

丁寧に研磨して、平滑な面を作りましょう。

ベースカラーとなる上塗り

この工程では色の付いた塗料を塗布します。

塗装する前に、サフェーサーを研磨した埃を除去します。
エアブローで荒掃除をしたのち、タッククロスと呼ばれる製品で塗装する面を拭いて埃を除去します。タッククロスとは、粘着性のある布で埃を絡め取るための道具です。

埃の付いた状態で塗装してしまうと、塗装面にブツが発生します。
塗装する前に綺麗に除去しておくことが、綺麗な塗装面を作るうえで重要です。

オススメの上塗り塗料を紹介

私がいつも使用するのは、ロックペイント プロタッチです。
この塗料は1液性ですので、サフェーサーと違い、厚みを持たせる塗料ではありません
軽く何度も吹きかけるイメージで塗装しましょう。

1液の上塗り塗料を塗布したら、必ずウレタンクリヤを吹き付けしましょう。

クリヤを塗布

最終工程であるウレタンクリヤの塗装です。

オススメのクリヤを紹介

私が使用するのは、ロックペイント エコロック ハイパークリヤーです。
この塗料は3:1の配合で硬化剤を添加します。

このクリヤ塗料を勧める理由は、硬化の速さによる、作業効率の向上と仕上がりの艶です。

このクリヤは自動車補修に使われるプロ仕様の製品で、安心して使用でき
従来のクリヤと比較すると、反応硬化速度が速く、磨き可能な高度までに達する時間が早いです。

このクリヤはメーカーの仕様書によると、2コートで十分な膜厚を構成できます。

塗料メーカーを揃える理由

ロックペイントばかりをオススメしていますが
これは下塗り、上塗り、クリヤと同じメーカーにすることで、塗料の相性が悪い場合に
塗装面が荒れるような、トラブルが起こることを防いでいます。
頻繁に起こるトラブルではありませんが、万が一に備えての対策です。

クリヤ塗装の役割

クリア塗装は艶出し効果と、塗装面の保護の目的があります。
通常の塗装では、ベース塗料は1液性の塗料を使用しますが、そのままでは耐久性に欠けるのでウレタンクリヤで保護し仕上げます。

まとめ

以上が一般的な塗装手順になります。

DIYで塗装しようとすると、用意する機材が多く
全て揃えると、塗装を外注に出せるほどの金額になりますが

「1度だけでなく、何度も塗装したい。」「塗装店に依頼せず、自分で塗装したい」
という方には機材を揃えて塗装することを勧めています。

自分で塗装した車両は愛着が断然湧きますし、長く車両を大切にしたい方にも
劣化した塗装をリペイントして、長く乗って欲しいです。

私の紹介した塗料は全てプロ御用達の材料です。
缶スプレーやラッカー塗料は耐久性が劣るうえに、綺麗な塗装面を作るのが難しいです。
優れた道具や材料は、使用者の技術を補ってくれます。
綺麗な塗装面を作るには、良い材料と道具を使用することを強く勧めます。

塗装は準備や工程が多い作業で、面倒と思われることが多いです。
しかし、準備や工程をしっかり行うことで、綺麗な塗装を行うことができます。

皆さんも、バイクや車の塗装を検討してみては、いかがでしょうか?

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こちらの記事で、事故で少しへこんでしまったバモスを、実際に補修しています。
宜しければ、こちらも参考にしていただけると嬉しいです。

ご通読、ありがとうございました!

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